睡眠時無呼吸症候群とは?
2003年の山陽新幹線の運転士による居眠り事件以来、一般の人々の睡眠時無呼吸症候群に対する関心が高まっています。
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に断続的に呼吸が止まり、血液中と脳で酸素量が減少する病気です。
睡眠時無呼吸症候群には脳血管障害の後遺症や心不全時に呼吸中枢の障害によって起こる中枢型と、睡眠中の筋弛緩により舌根や軟口蓋が下がり気道を閉塞するために起こる閉塞型がありますが、ほとんどは閉塞型です。
症状・合併症
いびき、日中の眠気や倦怠感、起床時の頭痛、熟睡感がない、集中力の低下、夜間3回以上の覚醒、夜間頻尿、寝汗など
血液中の酸素量の減少が続くため体に負担がかかり高血圧、心疾患(冠動脈疾患、心不全)、脳卒中の発症する可能性が高くなります。
検査
1)終夜ポリソムノグラフィー
基本的には入院して行う睡眠時検査です。寝ている間の睡眠状態を見るために脳波、筋電図、眼球運動図を取り付け、呼吸状態を見るために鼻腔内圧を測定するセンサーを取り付け、胸部、腹部の呼吸運動を測定するために胸部と腹部にバンドを巻きます。さらに血液中の酸素濃度を見るためにパルスオキシメーターとよばれるセンサーを指に取り付けます。検査では無呼吸(10秒以上の呼吸停止)や低呼吸が睡眠1時間あたりに発生する回数を調べます。
2)携帯用睡眠ポリグラフィー
入院できない方のために、自宅で行うことができる携帯用のポリグラフィー検査です。
睡眠時無呼吸症候群の治療
1 生活習慣の改善
- (1) 減量
肥満の方は、減量することで気道の閉塞が改善します。 - (2) 飲酒制限
アルコールは気道の筋力を弛緩させ、睡眠時の無呼吸を悪化させます。 - (3) 禁煙
喫煙は血液中の酸素濃度を低下させたり、気道の炎症を引き起こす場合があります。
2 CPAP(シーパップ)
鼻マスクを装着して、鼻から気道に空気を送り込み、上気道の閉塞を防ぐ治療法です。
CPAP装着は夜間寝ている時だけ使用します。もっとも標準的な治療法です。
3 口腔内装具
上気道を拡大する目的で口腔内に装着するマウスピースです。
4 外科的手術
口蓋垂(のどちんこ)や扁桃大きく、気道閉塞の原因になっている場合は摘出手術を行います。
5. 自己診断テスト
下記の質問に3つ以上当てはまる方は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。
昼間いつも眠い | はい | いいえ |
---|---|---|
いくら寝ても眠い | はい | いいえ |
朝の目覚めがすっきりしない | はい | いいえ |
朝起きると頭が痛い | はい | いいえ |
居眠りをよくする | はい | いいえ |
記憶力、集中力が落ちてきた | はい | いいえ |
夜間、何度か目を覚ます | はい | いいえ |
夜間、何回もトイレに行く | はい | いいえ |
いびきがうるさいと言われる | はい | いいえ |
精神的に不安定になる | はい | いいえ |
院 長: 能戸 徹哉