ピロリ菌の治療
ピロリ感染胃炎へのピロリ菌の検査・治療は保険適応になります。胃癌の99%がピロリ感染胃炎から発症し、除菌により胃癌発生が3分の1から6分の1に減り予防できることが確認されています。
また、外来でよく診る機能性ディスペプシアの一部の患者さんは症状が改善します。機能性ディスペプシアとは胃もたれ、胃痛などの上腹部症状があるにもかかわらず、検査をしても症状を説明できる異常がみつからない病態のことをいいます。さらに保険適応疾患以外でも慢性蕁麻疹、鉄欠乏性貧血、甲状腺疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、虚血性心疾患などとの関連が考えられていますので、これらの疾患の症状改善や予防につながるかもしれません。
ただし、保険診療でピロリ菌の検査・治療を受けるには6ヶ月以内の内視鏡検査で胃炎であることの確認が必須になります。
除菌治療は抗生物質2種類と胃酸を抑える薬1種類を1日2回1週間飲むだけの治療です。副作用は下痢や味覚異常などの軽微なものがほとんどですが、まれに薬剤性アレルギーや出血性腸炎を起こす場合があります。また、普段内服されている薬との相互作用にも注意が必要です。
他にデメリットとして除菌後に胃食道逆流症や体重増加による生活習慣病が出現することがあります。
内視鏡検査に抵抗がありピロリ菌の感染の有無だけをまず調べたい方は胃癌リスク検診(ABC検診)をおすすめします。血液検査でピロリ菌の感染の有無と胃炎の進行度(胃癌のなりやすさ)がわかります。
内視鏡検査というハードルはありますが、細径の経口内視鏡、経鼻内視鏡、鎮静剤の併用などでかなり苦痛も軽減されていますのでお気軽にご相談下さい。
副院長:能戸 久哉