ドクターコラムDoctor Column

高齢化で増える心房細動とは?

心房細動は、外来で遭遇する最も一般的な不整脈の一つです。

心臓は、左右の心房と左右の心室の4つの部屋で構成されています。心臓の正常な心拍数は60~90回/分(安静時)で、一定のリズムです。本来は心房も一定のリズム動きますが、心房細動は心房がけいれんをするように細かく震えている状態で、脈が不規則になる病気です。年齢が進むにつれて有病率が上昇し、高齢化の進んでいる日本では心房細動の患者は増えています。

原因

ストレス、飲酒、喫煙、睡眠不足、高血圧、糖尿病、心不全、甲状腺機能亢進症などが心房細動の発症に関連すると言われています。

種類

(1) 発作性心房細動

7日以内に自然に停止する心房細動を「発作性心房細動」と呼びます。

(2) 持続性心房細動

7日以上持続する心房細動を「持続性心房細動」と呼びます。

(3) 長期持続性心房細動

1年以上持続する心房細動を「長期持続性心房細動」と呼びます。

症状

典型的な症状は動悸や胸部不快感ですが、めまい、倦怠感、息苦しさが現れることがあります。

検査

心電図検査は必須ですが、発作性心房細動の場合、心電図検査時に心房細動を発見できないことがあります。この場合はホルタ-心電図検査(24時間心電計)や携帯型心電計を使い心房細動の検出を行います。
また、心房細動の原因になる心臓病の有無の検出のために心エコー検査や甲状腺機能検査(血液検査)もおこないます。

治療

心房細動自体の治療には薬物治療とカテーテル治療(カテーテルアブレーション)があります。薬物治療には、心房細動を止めて正常な脈(洞調律)に戻す薬と心房細動では頻脈になる傾向があるため、脈を遅くする薬が使われます。薬物治療で心房細動を止めることができない場合や、頻繁に発作性心房細動を繰り返す人はカテーテルアブレーションを考慮します。カテーテルを足の付け根にある大腿静脈から血管内に入れて心臓まで進め、病気の原因となっている心筋を焼く治療です。

一方、心房細動が長く続くと心房内の壁に血栓ができることがあり、血栓が心房の壁からはがれ、脳の動脈を塞いでしまうと脳梗塞(脳塞栓症)を発症します。心不全、高血圧、糖尿病、年齢75歳以上、脳卒中の既往のある人は脳塞栓症のリスクが高いので、血栓形成を抑える抗凝固薬を服薬します。

院長 : 能戸 徹哉

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