ドクターコラムDoctor Column

RSウイルスワクチンについて

RSウイルス感染症とは?

 RSウイルス感染症はRSウイルスにより引き起こされる呼吸器感染症です。乳幼児がかかる事が多い感染症で、2歳までにほぼ100%が感染し、生涯にわたって何度も感染と発症を繰り返します。
 成人の方の多くは軽症で自然軽快しますが、高齢者や喘息、慢性閉塞性肺疾患、心疾患、糖尿病、慢性腎臓病などの基礎疾患のある人、免疫機能が低下した人は、重症化し入院するケースが少なくありません。治療に関してもインフルエンザやコロナのような効果的な抗ウイルス薬はありません。60歳以上の外来患者数は年間70万人、このうち入院は6.3万人、死亡は4500人と推定されています。これはインフルエンザに匹敵する患者数です。

RSウイルス感染症の予防方法は?

 2024年1月、60歳以上を対象とするRSウイルスワクチンである「アレックスビー筋注用」が発売されました。家庭で子供が感染しても、ワクチンを接種していればRSウイルス感染のリスクを減らすことができます。60歳以上でお子さんやお孫さん(乳幼児、小児)と接する機会が多い方は、アレックスビー接種を検討してみて下さい。
 予防効果は、60歳以上全体で82.6%、基礎疾患のある60歳以上で94.6%でした。つまり60歳以上で、RSウイルスに感染して症状が出るリスクを約1/5程度にまで減らせる効果があります。
 現時点での有効期間は2~3年続くといわれていますが、いまだに研究途上の部分もあり、明確にはなっていません。
 副反応は、注射部位の痛みが最も多くみられ、赤くなったり腫れたりすることもあります。 また、インフルエンザワクチンに比較して頭痛、疲労、関節痛、筋肉痛などの副反応が多い傾向にあったと報告されています。

当院でもアレックスビーの接種を開始しました。
アレックスビーを接種して、RSウイルスの感染を予防しましょう。

副院長 : 能戸 久哉

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