ドクターコラムDoctor Column

めまいが起きたら何科へ行けばいいのか

 めまいで医療機関を受診する時には、症状から判断して適切な医療機関を受診することが大切です。判断のポイントは、どのようなタイプのめまいがどんなときに起こるか、急に起こっためまいか以前から経験しているか、めまいがどのくらい続いたかあるいは続いているか、耳鳴りや難聴などの耳の症状があるか、頭痛、首の痛みはあるか、そのほかの神経症状(しびれ、脱力感、歩行困難、視力障害、口語障害など)はあるか、動悸や不整脈はあるか、消化器症状はあるか、意識消失(失神)はあるかなどです。

めまいのタイプ

(1) 回転性めまい:景色や天井がぐるぐるまわるめまいです。壁が流れるように見える、体が傾いていく、引っ張られるようだと表現する人もいます。

(2) 動揺性めまい:宙に浮いた、雲の上を歩く様に感じるめまいです。体がふらつく、頭がフラフラすると表現する人もいます。

(3) 失神前めまい:気が遠くなる、意識を失いそうになるめまいです。立ちくらみ、目の前が真っ暗になる、血の気が引くなどと表現する人もいます。

めまいの原因

 病気、ストレス、更年期、加齢、睡眠不足、薬の副作用などがあげられます。
 メニエール病はストレスが原因と言われています。
 更年期障害では動揺性めまいのことが多いです。
 高齢者は高血圧、糖尿病、心臓病などの基礎疾患の合併症によるめまい、加齢による平衡感覚機能の低下、自律神経機能の低下、筋力の低下、視力や聴力の低下、関節・背骨の変形からくるめまいや、多種多様な薬剤の副作用によるめまいもあり、めまいの原因を特定するのが難しいと言われています。
 副作用でめまいを起こす薬剤としては、降圧剤、抗てんかん薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗パーキンソン 病薬、睡眠薬、抗アレルギー薬などがあります。

めまいで緊急性のある病気

(1) 脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など):突然発症。様々なタイプのめまいに加えて、嘔気や嘔吐、頭痛、首の痛み、顔・口の周り・半身のしびれ、脱力感、歩行困難、物が二重に見える、飲み込みが悪い、呂律が回らない、意識消失などの症状を認めます。高血圧、糖尿病、喫煙、心房細動、脂質異常症などの危険因子を持っていることが多いです。(救急科、脳神経外科へ)

(2) 消化管出血:急性出血による失神前めまいです。吐血、下血、腹痛、息切れ、動悸、意識消失などの症状を認めます。(救急科、内科、消化器科へ)

(3) 不整脈:失神前めまいです。脈の不整、徐脈、動悸、意識消失などの症状を認めます。 (救急科、内科、循環器科へ)

(4) 子宮外妊娠、卵巣出血:急性出血による失神前めまいです。突然の下腹部痛で発症し、不正出血、意識消失などの症状を認めます。(救急科、産婦人科へ)

回転性めまいを起こす病気

(1) 良性発作性頭位めまい症:耳鳴りや難聴を伴わない突然の回転性めまいです。回転性めまいの中で最も多いめまいです。ベッドで寝返りをうつなどの頭が動いた時に引き起こされます。1度につき数分以内で治るめまいが数日から数週間続き、その後自然に良くなくなっていきます。(内科、耳鼻科へ)

(2) メニエール病:耳鳴りと難聴を伴う突然の激しい回転性めまいでです。1度の持続時間は1~6時間が多いです。吐き気や嘔吐も起こし、何度も繰り返します。(耳鼻科へ)

(3) 前庭神経炎:頭位と無関係な突然の激しい回転性めまいです。耳鳴りや難聴は伴いません。約30%に上気道感染が先行します。(耳鼻科へ)

(4) 突発性難聴:耳鳴りとともに急激に難聴になり、初期に回転性めまいを伴う場合があります。吐き気や嘔吐を伴わないのがメニエール病と異なる特徴です。早期治療が何よりも重要です。治療が遅れると 聴力が戻らない事があります。(耳鼻科へ)

(5) 内耳炎:(耳鼻科へ)

(6) 脳腫瘍:(脳神経外科へ)

(7) 前庭性片頭痛:(脳神経外科へ)

その他のめまいをおこす病気

(1) 心因性(うつ病、パニック障害、過換気症候群など):(内科、心療内科、精神科へ)

(2) 低血圧症・起立性調節障害:失神前めまい(内科、循環器科へ)

(3) 大動脈弁狭窄症:失神前めまい(循環器科へ)

(4) 脱水症、熱中症:失神前めまい(内科へ)

(5) 高度の貧血:失神前めまい(内科へ)

(6) 低血糖症:失神前めまい(内科へ)

(7) 外傷後頚部症候群:(整形外科へ)

(8) 多発性硬化症:(脳神経内科へ)

 どの様なめまいであれ、脳血管疾患を疑う症状、大量の消化管出血、強い腹痛、不整脈、意識消失を伴えば、躊躇せず救急車を呼んでください。回転性めまいは耳鼻科疾患であることが多いので、まずは耳鼻科を受診してください。判断に迷う時には内科やかかりつけ医を受診してください。

副院長 : 能戸 久哉

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